新型コロナウイルス感染拡大以降、服薬指導においてもオンラインでの実施が注目されています。希望する患者さんは薬局に出向くことなく、電話やインターネット等を介して「オンライン服薬指導」を受けることができます。 対面指導に比べて得られる情報が限られることを考慮して 、医師は薬剤師と密に連携を行い、正確な情報提供や、患者さんの状態や服薬状況の的確な把握に努める必要があります。ここではオンライン服薬指導の詳細をご紹介します。
「オンライン服薬指導」は、従来、すでに対面による服薬指導が行われた薬剤に関して、日頃からその患者さんに対面指導を行っている薬剤師が行うものとされていましたが1) 、 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、現在は全ての薬局で行うことができます。 その場合、薬剤師が患者さんに関して以下のような情報を得ることが求められており、ここには医師の協力が必要な情報も含まれています2)。
なお、注射薬や吸入薬など、服用にあたって手技が必要な薬剤については、薬剤師が電話や情報通信機器を用いた服薬指導等を適切に行うことが可能と判断した場合に限り実施することができます。 この判断にあたっては、上記の①〜⑥の情報に加えて、受診時の指導の状況や患者の理解度などについて、医師から薬局への情報提供が必要となります。
図1 オンライン服薬指導の概略図
厚生労働省保険局医療課. 令和2年度診療報酬改定の概要(調剤)令和2年3月5日版(2020年6月30日アクセス)
https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000608537.pdf より一部を抜粋
図1にオンライン服薬指導の概略を示しました。
患者さんがオンライン服薬指導を希望した場合には、以下のような手順で指導が行われます2)。
このように、オンライン服薬指導の実施に際しての医師(医療機関)側で必要なアクションは、処方箋情報の送付と、診療録への記載、処方箋原本の薬局への送付などです。
【対応可能な薬局を見つけるには】
服薬指導を行う薬局は、オンライン服薬指導に使用する機器(電話、またはスマホ等)や処方箋の受付方法(ファクシミリ、メール、アプリケーション等)、薬剤の配送方法や支払方法等を、ホームページ等で公開しています。
また、薬剤師は、薬剤の配送やオンライン服薬指導によって起こるデメリットに関して、患者さんに対しあらかじめ十分な説明を行う必要があるとされています 2)。
患者さんの希望に合った薬局、薬剤師を選ぶ際には、これらの情報が参考になります。
【薬剤師との情報共有】
初めて調剤した薬剤については、患者さんの服薬アドヒアランスを考慮して、薬剤師は電話などで服薬状況や副作用の確認を行います。初めての薬剤でなくても、必要があれば確認を行います。
得られた情報は処方した医師にフィードバックすることになっています2) 。
【対面指導への切り替え】
注射薬や吸入薬など服用方法に説明が必要な薬剤で、遠隔では情報が正確に伝わらないと判断される場合には、対面による服薬指導に切り替わることがあります2)。
薬局や薬剤師の紹介にあたって、あらかじめ患者さんにその旨を伝えておくとよいでしょう。
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